7 Days a week from 10:00 am to 5:00 pm

10:00 am to 5:00 pm
Closed on national holidays and during the New Year holidays.

My Cart

You Are Here:

Prologue

PROLOGUE

ウイスキー、それは「激情」を液体の姿へと封じ込めた魔法の媚薬である。
古来、幾多の人間たち――とりわけ愚かしくも愛すべき男たち――は、この『命の水(アクア・ヴィテ)』の洗礼を受け、インスピレーションという名の熱病に浮かされ、英雄的蛮勇と、喜劇的愚行の境界線を行きつ、もどりつしてきた。

しかし、こう分析する者もいる。
安価な酒精が脳幹という原始の層を麻痺させ、ヒトをただの吠える動物へと退行させるのに対し、気高きシングルモルトは、知性の玉座である大脳の高次機能へと直接訴えかけるのだ、と。

ゆえに、安酒への耽溺はしばしば野蛮な咆哮や直情的な振る舞いと、その悲しき末路を招くが、シングルモルトによる陶酔は、氷のように透徹した理性と、哲学者ごとき判断力を授ける……のかもしれない。 ……少なくとも、ある”酒飲みの男”はそう嘯(うそぶ)いた。

が、そう信じることで、今夜もまた一杯のモルトを傾ける口実ができるというものだ。