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The name’s malt… Single Malt…Talisker, Skye Island
The name’s malt… Single Malt…Talisker, Skye Island

The name’s malt… Single Malt…Talisker, Skye Island

whisky magazine 20032000年の初頭、こんなエッセイが書かれていた。。。。

私は黄ばんだ『ウイスキー・マガジン』のページから目を上げ、窓の外を見た。横浜の海から吹き込む冷たい風が、ガラスを小刻みに揺らしている。手元のグラスにはタリスカー。もちろん、氷は入っていない。
ロックなどというマッチョでがさつな飲み方は、アメリカ人に任せておけばよい。ルーツはスコッツなのだから。

そのエッセイは、ドミニク・ロスクロウというライターが書いたものだ。

彼はジェームズ・ボンドとスコッチの奇妙な関係について、気の利いた報告をしている。

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混み合ったバーの喧騒の中、完璧なタキシードと蝶ネクタイで隙なくキメた男が現れる。標的の女はデザイナーズドレスに身を包み、退屈そうに男を待っている。女はロシア訛りの消えかけた声で、お決まりの台詞を吐く。「ウォッカ・マティーニ。ステアじゃなくシェイクで、かしら?」

だが、男は冷たく首を振る。「いや。シングルモルトを。水を少し、氷はなしで」・・・・・

映画のボンドといえば、ウォッカ・マティーニが相場だと思われている。だが、生みの親であるイアン・フレミングの頭の中では、この冷酷なスパイは昔からウイスキー党だったらしい。

映画の連中が「スコッチはクールじゃない」と目を背けていた間もね。

それがどうだ。世紀末の『World is not enouth』で、奴は突然タリスカーを片手にスクリーンに現れ、あろうことか、「爆発する氷」という最悪のジョークを道連れにしていった。
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英国情報局秘密情報部、MI6の長官執務室。
テムズ川を見下ろす重厚な部屋で、ボンドの上司である「M」はタリスカー10年のボトルを開けた。

差し出されたグラスを受け取ったジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン)は、あろうことか、そこに無造作に氷を放り込んだ。テロリストの罠を見抜くために、指先を冷やす必要があったからだ。世界を救うためには仕方のない演出だったのだろう。

だが、スカイ島の荒れ狂う海風に吹かれて熟成したタリスカーの魂は、冷たい氷で蓋をされることを最も嫌う。胡椒のような爆発力とピートの香りが、情けないほどに殺されてしまうからだ。

映画を見たスコットランドの職人たちは、スクリーンに向かってこう呟いたに違いない。

「世界を救うのは勝手だが、我々のウイスキーの魂まで凍らせるな」と。

かくして、タリスカーの関係者たちは、雑誌の取材などで「あの飲み方は推奨しない」とチクリと釘を刺している。殺しのライセンスを持つ男であっても、タリスカーを殺すことは許されなかったのだ。
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ハリウッドの映画屋どもが、ディアジオ社から裏金を受け取ってタリスカーをねじ込んだのか?
答えはノーだ。
スパイダーマンがカールスバーグのトラックの上を飛び跳ねるのとは訳が違う。

一見すると洗練されていてスマートだが、一枚皮を剥けば、むせ返るほど男性的で、暴力的で、爆発的な力を秘めているタリスカー。殺しのライセンスを持つ男の相棒として、これほど相応しい代物はない。

ロスクロウによれば、このスパイの影響じゃないだろうが、今やアメリカやヨーロッパの裕福な若造どもの間でもシングルモルトが流行りつつあるという。不況のあおりで馬鹿高いシャンパンを諦め、気取ったスーツを着こんでパリのクラブにたむろする連中が、ファッション・ステートメントとしてスコッチを頼むようになっているらしい。

流行なんてものは、いつだって安酒のように底が浅い。

オメガの時計やアストンマーティンと同じカタログの中から、シングルモルトを選んでいるだけだ。

だが、それでも構わない。きっかけが何であれ、本物の歴史の重みに触れる奴が少しでも増えるなら、それは悪いことじゃない、と。

私は雑誌を閉じ、グラスの残りを喉の奥に流し込んだ。黒胡椒の痛烈な刺激と、荒ぶる波のようなピートの香りが胃の腑に落ちていく。

世界を救うスパイも、パリの気取った若造たちも、勝手にすればいい。私に必要なのは、静寂と琥珀色の真実だけだ。

そういえば、GOT「ゲーム・オブ・スローンズ」の中でそのクラーケンの紋章を背負ったのがタリスカーだった。
What is dead may never die. But rises again harder and stronger.
死せるものはもはや死なず、さらに強く、固い。